家族といっしょに働くうれしさ
田中滉己(たなかこうき)さん(24歳)
田中農園
「農業を始めてから、毎日むちゃくちゃ楽しいんですよ。」
田中さんは屈託のない笑顔で迎えてくれました。干潟生まれの干潟育ち。
現在、7か月の長男がいるお父さんで、家族と一緒にチンゲンサイなどを栽培しています。ハウスに一歩足を踏み入れると、丸いカーブを描くプリプリの葉がぎっしり。ハウス中、優しい香りでいっぱい。
「元々農業をするつもりはなかった」という田中さん。
ある時、干潟の農業法人から声をかけられ体験作業をしたところ、「これはおもしろい!」と直感。そこで働くことになりました。
5年間働く中で、「自分でやってみたい」という思いが芽生えてきます。
その後、家族や勤務先の応援を受けて、独立。
「田中農園」としての挑戦が始まりました。
田中さんが日々大切にしているのは、楽しい農作業。
もちろん、力仕事やきつい姿勢での長時間作業など、農業は簡単な仕事では到底ありません。そこに家族が一緒に取り組んでいることに感謝し、かける言葉はていねいに選んでいるといいます。
「仕事でも家族といられるのは、本当に幸せなこと。だからこそ、いい空気を作っていきたい。」
チンゲンサイの出荷は今年の4月から始まったばかり。
「試行錯誤は続いていますが、無事に出荷できたことでホッとし、趣味の筋トレを再開しました」とニッコリ。
「田中農園をもっと大きくしたいという夢もあります」と語る横顔は、明るい覚悟で満ちていました。
山田
地域おこし遊牧民
小郡市地域おこし協力隊 山田 香代子さん
「きっかけはモンゴルのマンホールチルドレンでした。」
そう語るのは小郡市地域おこし協力隊の山田香代子さん。仕事に就けず、マンホールの温水管にて暖をとる子供たち。モンゴル留学での出会いの中、開発学に強く関心を抱くようになる。
青年海外協力隊となり彼女は再びモンゴルへ。
失業率8割のバヤンアグト村、そこにいたのは課題に対し、自ら行動を起こせない村民。常態化する支援が本来 勤勉である彼らの自立心を奪ってしまったのだ。
だが、やはり地域課題は住民の鏡、奔走する彼女と、他人任せな態度をとってしまう村民。その態度、そして、その態度の背景に涙することもあった。しかし、その熱意は徐々に伝染。結果、村民自らによる一次産品の二次加工が所得向上につながった。
この経験から学んだのは「巻き込んでやる、巻き込まれてやる」というスタンス。地域の目標は自ら見つけ出し、自ら愛され続けるものを生み出さないといけない。
このスタンスの下、帰国後も各地にて地域を巻き込み、巻き込まれる中で「やりたい」を引き出す活動を続けてきた。
そんな彼女は現在、小郡市初の地域おこし協力隊の一人として活動中。主に小郡の農家さんの中で、その「やりたい」を引き出し中だ。
そもそも彼女がモンゴルを訪れたのは遊牧民に憧れを抱いていたからだという。果てなく広がる草原にただ一人、笑顔でたたずむ遊牧民。学生の頃、憧れていた構図だ。
仕事を終えて次の地域へ、図らずして彼女は遊牧民のような生活を送ってきた。異なる点といえば一つ。彼女の周りには常に人が絶えないことだろうか。
大石
夢もラッピング♥ フリーランスでつかんだ今の自分!
ふろしき研究会会員&講師
ラッピング協会認定講師
日本知育モールアート協会認定モールアートマスター
顔ヨガ協会インターナショナル認定アドバンスインストラクター
髙倉 裕子 さん
東京で会社員をしていたころ、雑誌でラッピングの記事を見て、
「ラッピングが仕事になるんだ~♪」
と思ったそうです。
前々からラッピングに興味があったものの、仕事が忙しくて学ぶ時間が取れなかった髙倉さん。
東京からふる里に帰り、仕事をしながらラッピングの資格を取って、OLとラッピング講師を掛け持ちするようになりました。
ラッピングを教えている時、「風呂敷の包み方も教えて欲しい」と言われ、要望に応えるべく、風呂敷の歴史を学び、結び方を研究。
風呂敷は日本独自の包む文化です。二枚重ねにしたり、結び方次第でとてもおしゃれになるそうです。
古くて新しい素敵な風呂敷活用術を、生涯学習やカルチャーセンターなどで教えています。日本語学校では、日本の伝統文化として、風呂敷や折り紙も教えているそうです。
髙倉さんは、“お包みクリエーター”とは別の顔もお持ちです。
それは、“顔ヨガの講師”です。
顔ヨガは、筋肉を効率よく動かすことでたるみを解消、小顔にもなるという、顔のストレッチです。男女や年齢に関係なく効果が出るとか。
「みなさんが、だんだんきれいになって、イキイキしてくるのを見ること」が髙倉さんの喜びにもなっています。
顔ヨガは、毎日2~3分でいいそうです。
話しを聞いていると、実際に受けてみたくなりました。
フリーランスという働き方を、選んだばかりの頃には、想像もしていなかった今があるそうです。
テレビやラジオにも出演。
たくさんの人との出会いから、世界が広がったとのこと。
「これからどんな出会いがあり、自分がどのように変わっていくのかも楽しみ。」
小顔の髙倉さんが、ニコニコして語ってくれました。
予想外の展開は、これからも続きそうです。
【文責 宮原】
詳しくはこちらをご覧ください↓
https://youkyon88.wixsite.com/mameribbon/about
“体感主義活動を展開”マメ行者プロジェクト‼
〔写真:中央はパスタ作り、右はバームクーヘン作り〕
マメ行者プロジェクト実行委員会 事務局長
立若 一彦さん 57歳(小郡市三沢)
日焼けしたお顔に白いお鬚…立若さんは『山男?!』と私は勝手に想像していたのですが、お会いしてお話ししてみると、声はとても優しくて、ホンワリした方でした。
お仕事の経歴は、営業マン。学習塾講師。そして、平成8年には「NPO法人 遊び塾ありギリス」に参加されています。
平成12年より、小郡市内の小・中学校の外部講師として、自然に関する講話や体験学習を指導されています。
また、小郡市生涯学習課の主催講座や研修会での講師、さらにお父さんのためのアウトドア講座も開講されています。
平成18年には「マメ行者プロジェクト実行委員会『畑の楽校』」を設立されました。
主に子ども向けのプロジェクトで、総合的社会力・生活力の育成を目的に体験の企画実施を行うというものです。農作業と宿泊の体験キャンプで野菜を育て、収穫・調理まで行います。さらには、保存食も作ります。
平成24年には畑の楽校の年間活動がちくご子どもキャンパス活動に認定されました。(ちくご子どもキャンパスとは、県と筑後地域の12市町でつくる筑後田園都市推進評議会が行っている事業)
畑の楽校は12回シリーズで、4月より開催されています。
【写真は、マメ行者活動の一部です。マシーンを使ってのパスタ作りと、完成に3時間はかかるけど大人気のバームクーヘン作りです。】
立若さんが現在行っている活動のきっかけは、少年時代を久留米市で過ごしていた高校2年生の時、ご自身が企画実施したクラス行事の『英彦山キャンプ』にあるようです。あの時の楽しかった記憶がずっと残っていて、ご自身のお子さんと遊んでいるうちに、「子ども達とキャンプをやりたい。」と思い、それが今日の活動につながっているそうです。
最後に、これからの子ども達に伝えたいことはありますか?とお尋ねしてみました。
「『外で遊ぼう!遊びの中にある学習を見つけてほしい。』…学びの蓄積は失敗から見つかるものだから。」と、話していただきました。
(文責:窪田)
マメ行者プロジェクトの活動は こちらをご覧ください。
「30年後の未来を明るいものにするために、これからの人生をかける!」
食育劇団 和楽 代表 奥村晴美さん(57歳)
奥村さんは、食育をテーマに掲げ、8年前に食育劇団 和楽を立ち上げました。食育は命を学ぶこと。脈々とつながってきた命のバトン、私たちは命を食して今を生きていることを演劇を通して伝えています。
きっかけは、2009年に佐賀県で開催された食育推進全国大会に1ブースを任され、エプロンシアターや紙芝居など「食育グッズ」を20点ほど手作りしたことから。大会が終わり、一緒に作成した仲間と、「せっかく作った作品を活かしたい!」という思いで、劇団を作りました。演劇の経験があるのは、奥村さんだけ。みなさんは全くの素人でした。そこで、九州大谷短期大学講師 吉栁(きりゅう)佳代子(かよこ)氏から「表現」を学び練習を始めました。現在、劇団員10名、オリジナルを含め50作品になり、出演依頼も増えてきました。福岡県教育委員会主催「食育の出前講座」からも依頼を受け、県内の高校で上演しています。今も、劇で使う人形は、みんなで手作りし、「80歳でブロードウェイの舞台に立つ!」を合言葉に、公民館で練習を行っています。
奥村さんは、「人との出会いに刺激を受け、人に助けられてきた」と振り返ります。30年前、意識の高いお母さんたちとの出会いがあり、何も知らないことにカルチャーショックを受けました。お母さんが子供のために学ぶことの必要性を痛感し、「保育問題研究所」(久留米市)では「食」の大切さに気付かされ、お母さんの勉強会をつくり、いまも続いています。
今、奥村さんが自分の使命だと感じていることがあります。心と体のメカニズムについて、科学的根拠をもとに解き明かす京都大学教授 明和(みょうわ)政子(まさこ)氏の研究を、一人でも多くの人に知ってもらうこと。そして、これから人類がどう生きていくべきかを考える機会を作ることです。第1歩として、今年10月14日「明和教授の講演を聴く会」(仮称)を計画しています。場所は未定ですが、小郡市で開催したいと考えています。
「30年後の未来を明るいものにするために、これからの人生をかける!」
強い覚悟を持って語る奥村さんの顔は、優しさに満ちています。
【文責 宮原】
「明和政子氏講演会」(仮称)のお問合せ先
劇団事務所
TEL&FAX : 0942-73-5488
E-mail:iphanasakiyama0301@gmail.com
小郡に咲くカスミソウ
ついに小郡にも地域おこし協力隊がやってきた。隊員第一号の一人が宮本 亜里沙隊員だ。快活そうな印象を受ける彼女の理念はイメージ通り「やりたいことはやってみる」。
アナウンサーを志望して上京。感性に従って芸能マネージャー等様々な経験を積んできた。
その中で共通していたことは「魅力を発信する」こと。
地域の魅力を創造・発信する地域おこし協力隊。彼女の感性に刺さってくれたようだ。
小郡に来て1か月。小郡の印象を聞いてみた。まず驚いたのは個々のつながりだという。誰かに会えば、すぐに別の誰かを紹介してくれる。この一か月、紹介に紹介が重なり絶え間なく人に会ってきた。
しかし、同時に彼女が感じたのが、「空間」不足だ。既に魅力的な人はいて、つながりたい人とつなげたい人も沢山いる。それをできる場、そして表現・発信できる場を作り、後押しさえしてあげることができたら小郡はもっと良くなるのではないかと語ってくれた。
地域おこし協力隊の任期は3年。この3年間で彼女はその「空間」を作り、そこで生まれたものの発信に努めていきたいという。そこで彼女が思い出したのがアナウンサー志望時の、先輩からの言葉だ。
「あなたはカスミソウでありなさい。」カスミソウとは他の花を引き立てるために添えられる小さな花。主役ではなく脇役、当時よりこの言葉が胸に響いているそう。
調べてみるとカスミソウは1日12時間以上日の光を浴びなければ開花できないそうだ。これから3年間 、彼女が日の光を浴び続けられるよう、私も影ながら応援していきたい。
大石
毎日飲むものだから、身近なものであってほしい
Morrow珈琲 三宅淳司さん
小郡の横隈に昨年11月にopenしたmorrow珈琲。店長 三宅淳司さんは何を隠そう元珈琲嫌いだ。
サラリーマンをしていた三宅さんは福岡市城南区「伽楽」の珈琲と運命的な出会いをする。
「珈琲嫌いである自分でも美味しく飲むことができるなんて」そう感じ、改めて珈琲の世界に目を向けると、珈琲を通じ純粋に笑顔を届ける…心惹かれる人々がそこにはいた。彼らのようになりたいと転職を決意。「伽楽」での修行の後、morrow珈琲をopenさせる。
「珈琲は”王”が飲むものではなく、”人”が飲むもの」このような想いが「伽楽」には込められているそうだ。この想いは三宅さんの珈琲に受け継がれている。
morrow珈琲の看板であるmorrowブレンド。ブラジルとコロンビアをベースに豆の甘みとコクを引き出した一杯は、珈琲は毎日飲むものだからこそ、身近なものであってほしいという想いがこもった一杯だ。
元珈琲嫌いだからこそ、珈琲嫌いの方にも珈琲の美味しさを知ってもらうこともまた、自分の価値であると彼は語る。
退職し、横隈の店舗をopenさせるまでわずか3年。この3年間、様々な変化の中を三宅さんは走り抜けてきた。この変化の中、ふと幸せとは何かを考えることもあったそう。「お金、健康、時間…確かに大事だけど、自分だけが満たされていても、それは幸せじゃない。周囲の人々、何よりお客様がバランスよく幸せそうじゃないと」。
インタビューの途中にもお客様が数組来店された。珈琲の試飲に思わず笑顔が漏れるお客さん。そして珈琲の説明をする三宅さんはどこか幸せそうだった。
(文責:大石)
Morrow珈琲
福岡県小郡市横隈1664−10
0942-65-7238
10:00~18:00